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少女は一人窓辺に立って、いつものように風に耳を傾けていた。
車椅子で見た風景と若干違っていて最初は驚いていたけど、今ではこの風景に慣れていつまでも見ていた。
院長が言っていることも少女には、わかっていた。だから、無断で出ていくことも迷惑をかけることもしないようにしていた。
でも向こうから来てもらっては意味がない。私が行ってちゃんと私の姿を見てもらいたいと思っているからだ。
だから院長の話しを遮るように出てきてしまった。
後でごめんなさいって言わないとと考えていると、窓辺にいつものように小鳥が来ていた。
[……こんにちは。]
[いつもより元気がないよ。どうしたの?]
小鳥が心配そうに、少女の高さまで飛びながら、見ていた。
[……また、だめだった。]
小さく念話で言うと、小鳥が少女の肩に乗ってきた。
[その人に会うなら、行動に出さないとダメだよ?]
少女は小鳥には、会いたい気持ちを打ち明けていた。会ってどうしたいのかも………
でも、病院の人達に迷惑をかけちゃうと思うと、行動に移せずにいた。
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