もう一度、会うために…

8/12
前へ
/78ページ
次へ
少女は一人窓辺に立って、いつものように風に耳を傾けていた。 車椅子で見た風景と若干違っていて最初は驚いていたけど、今ではこの風景に慣れていつまでも見ていた。 院長が言っていることも少女には、わかっていた。だから、無断で出ていくことも迷惑をかけることもしないようにしていた。 でも向こうから来てもらっては意味がない。私が行ってちゃんと私の姿を見てもらいたいと思っているからだ。 だから院長の話しを遮るように出てきてしまった。 後でごめんなさいって言わないとと考えていると、窓辺にいつものように小鳥が来ていた。 [……こんにちは。] [いつもより元気がないよ。どうしたの?] 小鳥が心配そうに、少女の高さまで飛びながら、見ていた。 [……また、だめだった。] 小さく念話で言うと、小鳥が少女の肩に乗ってきた。 [その人に会うなら、行動に出さないとダメだよ?] 少女は小鳥には、会いたい気持ちを打ち明けていた。会ってどうしたいのかも……… でも、病院の人達に迷惑をかけちゃうと思うと、行動に移せずにいた。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1015人が本棚に入れています
本棚に追加