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走りながら周りの風景の変わりようを見ていた。病室ではほとんど止まっているように感じた。
簡単に言えば、写真や画像のように一面だけしか見ることが出来なかった。狭い病室や渡り廊下の窓からは、風景が若干違うだけでこんなに大きな変化はなかった。
[誰かにぶつかったら大変だから、気をつけてね。]
[……わかった、気をつける。]
鳥が少女に話しかけ、気をつけるように促すと言葉を返して頷いた。
少女も知っている。この世界では人が人の事をあまり干渉しようとしない事を、見て見ぬ振りをして自分に危害がおよばないようにしている事も……
それがこの世界での生き方らしいが、少女には理解出来なかった。
人と触れ合わなければ、相手の事を知れない上に自分の事を分かってもらえないからだ。
街を歩いていても、話し声はほとんど聞こえない。周りの人を見ていても、目的があるように周りに目を向けていなかった。
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