黒髪の少女

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本当は問いただしたいのだが、少女はそれを拒む。人の手を借りようとはしない。 「何かあったら、教えてね。」 院長はそれだけを言い、席を立ちトレイを片付けに言った。 少女を思って、頼っていいんだよと言っているようにも感じた。 院長の姿が見えなくなると、院長がいた席を見ていた。 (………ありがとうございます。でも……迷惑はかけられない。ごめんなさい。) 頭を下げてた。 院長がただ転んだとは思っていないのも知っている。でも、自分なんかに優しくしても何も出来ない。 恩も返せない。 自分が後少しの命だって知っているから。
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