魔王様の誕生日

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風呂場に着くと何やらもめている二人組を発見した。     「お風呂!お風呂に入らせて!」     「却下……話しにならないねえ……あと二日もある」   金髪のツインテールの女性が、読書しているシルヴィアに文句を言っている。       「大体何でお風呂が三日に一度なのよ!入りたい入りたいー!」     「エルウィン……風呂には特別な魔力の入った水を使ってんだよ。 三日間は入らなくても臭くもないし、むしろすべすべな肌を維持できる」   エルウィンと呼ばれるツインテールの女性はそれを聞いて、拳を握りしめている。       それを見ていたリリスが足早に歩き出して近付いていく。     「退きなさいエルウィン!私が話しをつけるわ!」     「リリス様!!」   突如現われたリリスを見て、エルウィンは目を輝かせた。       本を読んでいるシルヴィアの前に立ち、リリスは小さな身体で指差して叫んだ。     「シルヴィア!風呂を沸かしなさい!」     「却下」     「…………………」   場に流れる静寂。シルヴィアの本をめくる音しか聞こえてこない。       「陛下の言う事が聞けないの!?」   もう泣きそうな顔をしているリリスをチラリと見て、シルヴィアは再び口を開く。     「陛下……うちは他の魔王達に比べて貧乏なんですよ。 陛下が進んで資産削減してくれないと下の者に示しがつきませんよ」   それを聞いてリリスは自分の服を掴んで、泣きそうな顔になっていた。
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