魔王様の誕生日

4/20
前へ
/107ページ
次へ
「どうかしたのか?」   しばらく沈黙が流れていたが、ラグナが異常な事態を見兼ねて歩いてきた。       「リリス様が風呂入りたいって言うんだよ……」   ため息をついてシルヴィアがラグナに言った。       それを聞いてラグナは考えるような仕草で顎を触り口を開いた。     「まあいいんじゃないか?アレンという新しい仲間が入ってきたんだし、特別という事で」     「ありがとうラグナ!大好き!」     「ラグナ!陛下に甘すぎるよ!」   ラグナの言葉を聞いて喜ぶリリスと激怒するシルヴィア。       シルヴィアは怒鳴るだけにとどまらず、読んでいる本をラグナに見せる。     「そんな風呂沸かす余裕があったら私にも本買ってよ!いい加減書物何周もして読み飽きてんだよ!」     「一万冊はあるだろう?もう読んでしまってたのか……しかし書物は高いからな」   それを聞いてシルヴィアはさらにヒートアップしてしまう。       「だから無駄を省けって言ってんだよ!風呂沸かす資産があるなら私に書物を買いな!」     「まあまあいいじゃない。お風呂入れるんだから」   風呂に入れるとご機嫌なエルウィンがシルヴィアの肩を叩く。       「あんたは黙ってな!ああもう!いいわよ!」   カンカンに怒ってシルヴィアは消えて行ってしまった。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2254人が本棚に入れています
本棚に追加