指名手配になった勇者

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ラグナの言葉の意味を全員が分かっていないようだった。     「ラグナ様、どうしてカメラマンさんを一人逃がしてしまった事がマズいんですか?」   シフォンが首を傾げて一番の疑問部分を質問してくれる。       ラグナはため息をついて座り、自分を見つめている全員を見た。     「いいかい?リリス様の症状は魔族達の間では勿論……人間達の間でも有名だったんだ」     「だからそれが何だってんだい!」   焦れったく感じたのかシルヴィアがラグナに叫んで先を促す。       「リリス様の為に、俺達が無の継承者を探していたのを『奴等』は知っている」     「………奴等?」   アレンがそう呟いたのを聞いて、ラグナがふと顔をあげた。       「帝国騎士団……つまりは勇者共にだよ。あいつら……おそらくアレンを消しにかかるぞ」     「ええっ!?何で!?俺って勇者アルテミスの正当な後継者なんでしょ?」   ラグナの言葉を聞いてやや下がり、有り得ない顔をするアレン。       「無の能力は危険なんだ。魔族には勿論……人間にもね」     「はいはい!何で人間共にとっても危険なの?」   エルウィンが手をあげて輪に加わり、ラグナに質問する。       それを聞いてラグナはタバコに火をつけて、エルウィンの方を向き直る。     「人間も魔族も扱うのは魔法。 いくら勇者アルテミスの正当後継者といえど、魔王の側にいるんだぞ?そんな危険な奴を奴等は放っておかない」     その時アレンは思っていた。     自分はもう引き返すことが出来ない世界に足を踏み入れた事を。
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