指名手配になった勇者

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その頃アレンはベッドで眠っているリリスの側で手を握っていた。     「………………」   無言でリリスの頬を触り、アレンは祈るしかなかった。       「アレン………」     「リリス!大丈夫!?具合はどう?」   リリスは慌てて話し掛けてくるアレンを見て、ニコリとほほ笑んだ。       「大丈夫………だから落ち着いてよ」     「おや、目覚めましたか?」   アレンがリリスの言葉を聞いてホッと一息ついたと同時に、ラグナが紅茶を持って現われた。       「もう体調は心配しなくても大丈夫です。 アレンのお陰で全て解決しましたよ」     「…………うん」   ラグナの言葉にリリスはほほ笑みながら頷き、アレンの手を握る。       『いやいや、全く初々しいですね。この二人を見ていると』     「え?誰の声?」     「うるさいよ……『ゼロ』」   突如声が聞こえてきてラグナを見ると、胸につけている銀色に輝く十字架のアクセサリーに話し掛けていた。     「……ラグナ?今喋ったのって……」     「ああ、アレンは知らないんだね。こいつは魔道具『白銀の断罪者ゼロ』だよ」     「白銀の断罪者……ゼロ?」   十字架を首から外してニコリと笑いラグナが言う。
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