指名手配になった勇者

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「グラディウスって……地下にあったあの魔剣!?」   アレンが地下での出来事を思い出し、そう言うとリリスのはめた指輪から声が聞こえてくる。       『いかにも、こうして話すのは初めてだな。私が覇王グラディウスだ』     「あ、どうもです」   大人びた声が指輪から聞こえてきて、思わずアレンは頭を下げてしまう。       「グラディウス。もう一人はアレンに決まったよ……リリス様の側にいる事になったからな」     『決まったとは……まさかラグナよ。人間に契約させるつもりか?』   ほほ笑みながらそう言ったラグナに、グラディウスは驚きの声をあげた。       ラグナはゆっくりと頷き立ち上がり、高級な飾りがしてある箱を棚から取り出してアレンの前で開いた。     「…………これは?」     「リリス様と同じ契約の指輪です。 覇王グラディウスには契約する者は二人まで可能なのですよ………理由がありまして」   ラグナは輝く指輪を見せながらアレンに説明する。       そして指輪を手にとり、ラグナはアレンに差し出した。     アレンは横になっているリリスを見ると、決意した表情で頷いた。     「……………うん、契約するよ」     『ならば指輪をはめるといい。それで契約は完了する』   グラディウスの言葉を聞き、アレンはゆっくりと指輪をはめる。       するとアレンは黒い光に包まれ、何事もなく元の状態に戻った。     『これからはリリス同様、覇王を名乗るがいい。アレン=ハイネス』  
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