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「もう夜も遅いし明日に備えて眠りますか?」
「うんうん……今日はリリスの側にいるよ」
ラグナの提案にアレンは首を横に振り、リリスを見た。
「………………」
それを聞いてリリスは少し顔を赤くさせてアレンを見つめる。
「ん?どうしたの?」
「な、何でもないわよ!馬鹿!」
そう聞かれると同時にリリスは怒鳴って布団の中に潜り込んでしまった。
「何なんだよ……急に馬鹿って……」
アレンは訳が分からないといった表情でそう呟くが、リリスはうるさい!と言って潜ったままだった。
ラグナはそんな二人を見てほほ笑み、黙って部屋を出て行く。
「…………本気かいラグナ?てっきりリリス様の症状を治したら追い出すかと思ってたよ」
部屋を出てくるラグナを待っていたのか、部屋の前の廊下に壁にもたれかかりシルヴィアが立っていた。
「リリス様の意思だ。アレンはどうか分からないが、リリス様はアレンに魅かれている」
「歴史を繰り返すつもりかい!?このままじゃあの二人は!」
シルヴィアがラグナに向かって怒鳴ると、ラグナは手でシルヴィアを制した。
「もう二人は出会ってしまった。
出会わずにリリス様が死んでしまうというシナリオがほぼ確実だったはずだ。
しかし運命はそれを拒んだ………」
ラグナの言葉を聞いてシルヴィアは表情を暗くして、下を向いた。
「………信じよう。あの二人を」
ラグナがそう言うとシルヴィアは黙って頷き、ラグナはタバコに火をつけた。
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