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「ハァ……やってしまった……」
「おや、アレン……こんな所にいましたか。早く準備していただかないと遅れますよ?」
頭を抱えて震えているアレンを見つけて、ラグナはニコニコ笑いながら引きずり始める。
「…………あれ?準備って何!?ラグナ!」
「学校ですよ。アレンもリリス様と同じ学校に通っていただきます」
ラグナが発した言葉を聞いてアレンは驚きの声をあげるが、問答無用で部屋に連れて行かれる。
それからラグナは巨大なクローゼットを開き、同じ黒い制服が何百と並ぶ中からアレンに合った制服を探し始めた。
「あ、あの……ラグナ?ホントに学校あるの?」
制服を真剣な目付きで選んでいるラグナに恐る恐る話し掛けるアレンだが、直ぐに場が騒がしくなり始めた。
「ラグナ!朝食の準備がまだ出来てないよ!」
「厨房の右から三番目の冷蔵庫の下から二段目に作り置きがあるからそれを温めて出してくれ」
ラグナの言葉を聞いてダッシュして消えて行くシルヴィア。
「このサイズなら合いますかね?ちょっと着てみて下さい」
「う、うん」
何事もなかったかのように笑顔で制服を差し出すラグナ。
アレンは動揺しながらもそれを受け取り試着を始める。
すると今度はシフォンが泣きながら部屋に入ってきた。
「ラグナ様あぁ!リリス様がケーキ食べないと学校行かないって暴れますぅ!」
「分かった分かった……今から行くから出発の準備だけして」
アレンの制服姿を見て、ラグナはニコリと笑い歩いて行ってしまった。
騒がしい一日が幕を開けた瞬間だった。
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