道で見つけた幼女には油断するべからず

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「ひっ…………」   小さな女の子を前にして完全に怯えきっている男達。     先程とは完全に状況は違っていた。 女の子の周りからは黒いオーラが吹き出ていた。     「あれは………魔力……ってまさかあの子!」     「うっ……うああああ!!!」   男の一人が恐怖のあまり女の子に斬りかかった。       「我が拳に宿りて食らい尽くせ」   女の子がそう呟き拳をつくと、空間が歪み男の刀が砕け散り血を吐き出して男が倒れた。     「うああああ!」     「助けて!ぐっ!」   逃げ出した男達を目にも止まらぬスピードで追いかけて、次々に倒して行きその場にはアレンだけが残った。       「…………………」   その光景を呆然と見つめるアレン。 逃げなければと頭では分かっているが身体が動かない。       この女の子は魔族だ。しかももの凄く強い………     そんな事を考えていると、女の子はクルリとこちらを見て駆け寄ってくる。     目の前まで女の子が近寄ってきた時、アレンは目をつぶり死を覚悟した。     「ありがとう……守ってくれようとしたんだよね?」     「……………へ?」   ギュッと抱きつかれて目を開くと、女の子は可愛らしい笑顔で懐いてきた。       「人間……だよね?でも貴方は大好きになっちゃった……」   頬を赤くして無邪気に笑う女の子からは先程の出来事を全く感じられなかった。
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