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「……………」
制服に着替えてアレンは食事をとる大広間の前に立ち尽くしていた。
その理由とは……中から聞こえてくる騒ぎ声にあった。
「リリス様!あんたわがままも大概にしなよ!ケーキなんてないよ!」
「リリス様ぁ……お願いですから言う事聞いて下さい!」
「うるさいうるさい!ケーキが食べたいの!」
実際入りたくなかった。
この騒ぎに巻き込まれたくないアレンは扉に手をかけるのをためらった。
「早く学校に行くよ!馬鹿魔王!」
「もう怒った!万物よ……この目の前の胸だけババアに時空の裁きを!」
「リリス様魔法は止めて下さい!!!」
とうとう魔法まで使い始めたリリスに中は慌ただしい事になっている。
「どうしましたアレン?ほら中に入って下さい」
「ちょっと今マズいって!ラグナあああぁあ!」
トンと背中を押されて中に無理矢理入れられるアレン。
中に入るとリリスだけでなく、シルヴィアまで手を前に出して魔法を放とうとしていた。
アレンが叫び声をあげそうになったと同時に、ラグナが二人の間に入り手を掲げた。
それと同時にシルヴィアとリリスの魔法が打ち消され、光が辺りに飛び散った。
「どうぞリリス様。ケーキですよ」
「わぁ!ありがとうラグナ!」
「よくもまあこの短時間でケーキ作ったね」
シルヴィアとリリスは何事もなかったかのように席に着き食事をとり始める。
「……………凄い」
アレンはその光景を見てただ感心するばかりだった。
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