道で見つけた幼女には油断するべからず

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抱き付かれて固まったままのアレン。どうしようかと思考を巡らせていると声が聞こえてきた。     「陛下ー!リリス陛下ー!やっと見つけました!」     「………………へ?」   声が聞こえてきた方角は空。上を見上げると黄色い龍が喋りながら舞い降りてくる。     龍の背中には旗が掲げられており、旗には『覇』と一文字記入されている。     思考をフルに回転させる。 龍が口にしたリリス陛下という言葉、旗には覇という文字。     全てが繋がった。今自分に抱き着いている幼女は北の覇王、魔王リリスだと………     「ちょっ!ヤバい!」   逃げようとするが、リリスに抱き付かれており動きがとれずにいると龍から人が数人降りてきた。     「ごめんなさいラグナ様!陛下が城から抜け出したのは私の責任ですー!」   龍が泣きそうな声で背中から降りてきた身長184cm程の細く綺麗な肩まで伸びた長髪で、銀髪の美青年に話し掛ける。       「リリス様がだだこねたんだろ?謝らなくていいよシフォン」   ラグナと呼ばれる銀髪の青年はほほ笑みながら龍に答えて近付いてくる。       思わず足が竦む。敵意はないようだが一目見ただけで、ただ者ではないと分かった。     そう考えていると、リリスがラグナに向かって抱き着いた。     「ラグナ!この人私の婚約者にするね!いいよね?」   何を私の死期を早める事を言ってるんですか……魔王陛下。 アレンはこの時そんな事を考えていた。
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