太陽と月

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 ある日のこと。太陽は地上で人間のお葬式が行われているのを見て、いつもの様に泣いてしまいました。 「ああ、人間が死んでしまった!人間たちが可哀想だ!」  太陽が悲しくて悲しくておいおい泣いたものだから、地上にポツリポツリと雨が降り始めました。あわてて真っ黒な雲がふわふわのタオルを持って太陽の元へと駆けつけます。  しかしあまりにも雲が慌てたものだから、その勢いで地上をびゅうと風が吹き抜けました。風に煽られた地上の人々はすってんころりと足を滑らせ、次々に転んでしまいました。  お葬式をしていた人たちも、ちょうど棺おけを持ち上げたところでびゅうと風が吹いたものだからたまったものではありません。棺おけごとひっくり返った人たちは、何事が起こったのかとお互いに顔を見合わせました。
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