72人が本棚に入れています
本棚に追加
/453ページ
「……すごい冷気と龍力だったな」
「海龍派とは違った龍力でしたよ」
クラストは二人を安静にさせ、レイズたちを見た。
「うん。でもそれだけ身体に負荷がかかってる」
マリナは吐息をつく。
自分はまだ発現していない。焦りと不安が走る。
「最低でも完全龍魂は必要だよな」
バージルはクラストに問う。
彼自身、未発現だが、高龍魂のステータスはだいぶ伸びている。
それでも、スゼイやフリアには届かない。
「……ふむ……」
クラストはただ息をゆっくり吐いただけで、何も言わない。
(敵は確実に我々を見下している。そこにうまく付け入れれば……)
「なんとも言えん。ただ、今の龍力=負け。と結び付けるのは早い」
「……どういうことだ?」
レイズはクラストを睨みつける。
ミーネが発現したのは嬉しいことだが、百パーセントではない。危機に陥ってから、では遅い。
「向こうは負けないと信じている。そこをうまく突けないか?」
「ムリだね」
バージルはあっさり切り捨てる。
「今までのあいつらとは違う。スゼイの龍力を見ただろ?フリアも慈悲で止めたんじゃない。レイ絡みだ」
バージルは自分の目を指す。
「一緒にいたから分かる。今のあいつらは、レイの一言で鬼にもなるし、味方にもなる。力に従う。スラムのルールだ」
スゼイは、その時ブチ切れていたからはっきりとは言えないのか。
「油断はしないよ。絶対に」
最初のコメントを投稿しよう!