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レイズたちは、レイラとミーネの回復を待って、出発することにした。
レイズ自身、かなり疲労が溜まっていたため、多少なり休むことはできたが、心の休まる時間がない。
いつも緊張状態だ。
精神が崩壊してもおかしくない。
暗黒街はもうすぐそこ。
街のシルエットはもう見えているらしい。
クラストとリイドはそう言うが、レイズにはまだ暗雲しか見えない。いや、見ようとしていないのかもしれない。
「すみません……私のために……」
「ごめん。あたしはもう大丈夫だから」
「大事なくてよかったよ」
レイラ、ミーネが目覚め、再出発はしていたものの、レイズの頭には延々と続く暗雲のカーテンしかなかった。
「…………」
もう何も考えられない。
過度なストレスでイライラする。
気が思い。発狂しそうだ。
それでも、足は前に進む。
仲間のために。リゼルのために。
正直、国がどうなろうが今はどうでもいい。
友一人助けられない小さな手に、国は入る間さえない。
不意に、前を歩いていたクラストが立ち止まる。
「門が見えた。入口だ」
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