Chapter01

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……俺のバカ。 親がいない気持なんて、俺もよくわかってるはずじゃねぇか。 そう。 俺には親がいない。 親父もお袋も、俺の目の前で死んだ。 理由はよくわからない。 その時俺はまだ5歳のガキで、覚えていたのは血まみれになって俺を庇った二人の姿だけ。 残された俺はじいちゃんに引き取られ、現在に至っている。 未だにあの時の夢をたまに見る。 毎回、血まみれの親父とお袋の姿がリピートする。 夢を見た日は胃が重くなる。 勿論そんな様子を表には絶対出さない。 変に気を使われるのも困るし、自分でも辛くなるような気がするからだ。 俺が一番よくわかっているのに。なのに。 その時だった。 「きゃぁぁぁぁぁっ!!!」 甲高い悲鳴。 あの方向は…… 「楓ちゃんっ!?」
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