41人が本棚に入れています
本棚に追加
そこには、必死で逃げ惑う楓ちゃんと、それを追う『何か』がいた。
「美那野!!」
その声に気付いたのか、楓ちゃんはこちらに向かって逃げてきた。
「玖珂くん!」
楓ちゃんは半泣きだった。
その時、街灯の光によって『何か』の姿が露になった。
「何だアレ……!?」
その『何か』は黒いどろっとした液体のような姿をしていた。人よりも少し大きく、地面を流れるようにして楓ちゃんの後を追っている。
とりあえず俺は石ころを拾い上げ、その『何か』に向かって投げつけてみた。
見事な軌道を描いて石ころは『何か』に当たった……はずだった。
「嘘だろ……?」
石ころは『何か』の身体を貫通し、道路の向こうへ飛んでいった。
『何か』は一瞬動きを止めたが、身体の穴を塞いだ後は何事も無かったかのように楓ちゃんを再び追い始めた。
最初のコメントを投稿しよう!