愛しい人

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自嘲気味に笑う佐東に、緑里は何も言わなかった。 ただ、起き上がり、何も言わずキスをした。 触れるだけのキス。緑里の唇は震えていた。 「………え、」 「い、言うな…。俺は今、ものすごく恥ずかしいんだ…」 すぐに反らした緑里の横顔は、真っ赤に染まっていた。 「なあ、どうして?」 「…別にどうということはない。君に…したいと思ったから。」 「な、」 「お、おお俺だって知らん!も、もういいから黙ってくれ!」 先程まで寝ていたベッドに潜り込み、どうしようもなく赤くなった顔を隠そうとした。
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