転校

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転校

黒混じりの濁った赤い車が荒々しい声をあげて走っていく。 「空気が綺麗」なことで有名なこの田舎に、大量の排気ガスを放出しながら走っていく。 俺は車の窓の桟に頬杖をついて、外の景色を眺めていた。 緑が綺麗だ…… 田んぼの他に何もないこのド田舎で、またこの俺、三条 千秋(さんじょう ちあき)の高校生活が始まるんだ。 青春に浸っている俺に、母さんがハンドルを回しながら話し掛けてきた。 「今度の所では問題起こさないで頂戴ね?お母さん、新しい高校探すの結構苦労したんだから」 「んー」 ルームミラー越しに映る、しかめっ面の母親と目が合い、一気に現実に引き戻された気分になった俺は適当に返事を返した。
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