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「本当に分かっているの?」と、独り言のようにブツブツと呟く母親の言葉は聞こえないフリをして、俺はまた外の方へと目をやった。
「せっかくフォローしてあげたのに千秋ったら全然我慢出来ないんだもん。短気にも程があるよ」
隣に座る妹の千春(ちはる)が呆れた顔で俺を見る。
続いて溜め息が吐かれた。
「あーあー。友子ちゃん……元気にしてるかなぁ……」
「友子ちゃん」とは、千春が前の学校で仲良くしていた友達だ。
こちらをチラチラ見ながら言ってくることから、おそらく俺に対する嫌味なのだろう。
俺が暴力事件を起こしたせいで、妹の千春も退学処分となり、友達とも離れ離れになってしまった。
だけどそれは今回に限ったことではない。
今回で「八回目」だ。
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