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遠方から転勤してきた五十嵐さんは、まだこの街の地理に疎い。
そんな流れから、今夜は私が彼の独身寮まで迎えに行く事になった。
寮の駐車場で待つこと数分、すっかり暗くなった夕闇の中から、180センチの均整のとれた細身のシルエットが浮かび上がった。
久し振りの異性との接触に、ちぐはぐな心音を刻む私の元へ、颯爽と近づいてくる黒い影。
瞬く間に、愛車の助手席のドアか開け広げられた。
「お疲れっす!お迎えありがとな」
「お疲れ様です。どうぞ乗って下さい」
柔らかそうな栗毛色の髪を掻き上げ優しく微笑んだ彼の、普段見たことの無い大人の男を感じさせるその表情に、私の渇いた心が微熱を帯び、トクンと波打った。
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