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じじぃの名は轟いていたらしいが、
俺はじじぃがどんなにすごい怪盗だったか知らない。
俺は、何も知らなかったことを知らなかった。
弟子の中でも俺は特例だったようだ。
俺の記憶が戻った時、
俺が怪盗をやめたくなるかもしれない。
その為にじじぃが色々用意していたことを俺は知った。
じじぃは俺に葬儀に参列して欲しくないと遺言したのだそうだ。
仕方ないから、俺はその意思に従ってやる。
その代わり。
参列しないから。
死に顔も見ないから。
俺のはじめての戦利品を持っていけ。
必死に動いたあなたの手下たちの心の結晶を。
責任もってあの世まで持っていけ。
俺は兄弟子にコインを預けた。
じじぃの棺おけに入れるように頼んで。
「いいのですか?」
「必要なら、また集めればいいさ」
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