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深夜の時間も過ぎていたが、じじぃは絶対起きてる。
どこから漏れるのか、じじぃの情報網は完璧だ。
俺が向かうことももう伝わっているに違いない。
浮かれた俺は、苦い顔をしながら電話を受ける兄弟子のおかしな様子に気付くことが出来なかった。
「じじぃっ、帰ったぞ!」
もう1人前じゃないとは言わせない。
俺はコインを片手に書斎へ駆け込んだ。
じじぃは、いなかった。
1人、じじぃの腹心だけがそこに居た。
「おぅ、じじぃはどこだ?すぐ帰ってくる?」
もう1人の親のような存在に、俺は気安く話しかけた。
だが陽気な返事は返ってこない。
何なんだよー。
黙って俺に封書を差し出す。
「御前は、お会いにならないそうです」
「なっ!どういうことだっ」
「落ち着くんです、彩華っ」
「じじぃが俺に会わないってどういうことだよっ。
帰ってくるなっていうなら、じじぃの口で説明しろっ!!」
「それが!・・・・・・出来ないのですよ、もう」
沈鬱な雰囲気と、重たい口調。
・・・何があった?
「彩華。
落ち着いてお聞きなさい。
御前はお亡くなりになりました。
時間は、ちょうど私たちの最後の襲撃が成功した直後です」
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