プロローグ

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……雨が冷たい、地面も冷たい。 肌に刺さるような激しい雨が降っているなか、俺は地面に倒れていた。 なぜかというと、簡単なことで大学から家に帰る途中の信号で信号待ちをしていたら、赤信号なのに小さな女の子がとびだして、トラックがきて、咄嗟に助けに入った俺が轢かれる、というありがちといばありがちなことになったわけである。 体はもう動かない。痛みも正直感じない。 視界がぼやける。 色が消え、音も消え、灰色の世界が目の前に広がる。 『死ぬ』とはこういうものなのかと実感する。 女の子は無事なのかが気になった。 しかし、それを確認できるだけの力はもう残っていない。 そして目の前を黒が支配し、俺の意識は途切れた。
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