初ノック

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しかし、グローブが使いこなせず打球を足にあててしまった。 慌ててボールをつかみ、ケンに返球。 ヘロヘロっとした球がケンにスリーバウンドでやってきた。 『なるほど、シロートだな』 苦笑いのケン。 『ススムにノックはまだ早すぎたな。まずはキャッチボールからやるか』 『はい!』 方針を転換する。 『アキラ、投げ方からじっくり教えてやれ!』 『了解』 ショートについていたアキラとセンターのススムが、三塁ファールゾーンでキャッチボールを始めた。 『まずは左手を相手に向けて、体は相手と垂直にするんだ』 『こう?』 『そうそう、じゃ投げてみて』 アキラのレクチャーを見て胸をなで下ろすケン。 『おら、お前らもノックいくぞお!』 『ウーッス!』 一日中ランニングから一日中キャッチボールになったススム。 あまりにも極端過ぎる。 早く上手くなろう。 そう心に誓った一日だった。
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