素振り1000本

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キャッチボールだけをとにかく繰り返す日々がまた一週間続いた。 アキラの的確な指導でフォームを修正。 暴投もグッと減り、遠投も60メートルくらいは投げられるようになった。 その急成長ぶりを肌で感じたアキラはケンに直訴。 もう次のステップにいけると踏んだのだ。 『いいだろう、ススム、バットを持って来い!』 『よっしゃ!』 また新たなメニューになると思うと胸が弾む。 ベンチ裏にバットが置いてあるのだが、またヒロミが用意してくれていた。 『はいっ。ススム君』 ヒロミの優しく眩しい笑顔。 『あ、ありがとう!』 照れながら受け取り、ケンキャプテンの前へ。 『次は打撃の基礎。素振りだ!今日はアキラからフォームを教わりそれをものにするだけでいい』 『それだけ?』 『そうだ!アキラ!お前のスイングを見せてやれ!』 『了解』 アキラは左打席に入り、大きく右足を上げ、鋭くバットを振った。 『アキラは左打ちなのか。キャプテン俺右利きなんだけど』 『ススム、貴様は足がとてつもなく速い。それを活かすためにも左打ちになれ。アキラを真似ろ』 『わかった。アキラこうか?』 見たまま振るがどうもしっくりこない。 『腕じゃなくて、もっと腰で回す感じだよ』 『腰か。よーし!』 今度はビュンと鋭く空を斬った。 『うん、そんな感じ』 『よし、お前ら、フリーバッティングをやるぞ!まずは戸部から!』 『はい』 戸部は10球中ヒット2、空振り3、凡打5 次に入った岡田が10球中ヒット3、空振り1、凡打6 井川は10球中ヒット2、空振り2、凡打6 照井が10球中ヒット3、空振り0、凡打7 『お前たちやる気あるのか?さっきから全然打てないじゃないか!』 『すみません』 『もういい、次ゴウ!』 『おう!俺か』 ケンのボールの前に空振りの山を築くゴウ。 しかし最後の10球目をジャストミート。 サッカー部のゴールくらいまで飛んでいった。 150メートルくらいは飛んでいる。 『ははは、素晴らしいパワーだぞ!ゴウ!』 『ウッス!』 ゴウが10球中ホームラン1空振り8凡打1 『ほえー、凄い飛んだな。アキラもあれくらい飛ぶのか?』 『さすがに、あんなには飛ばないな。ゴウさんは、パワーだけならプロ球だね』 これを期に、番長ゴウが大砲ゴウにあだ名が変わった。
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