素振り1000本

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放課後になる。 野球部の活動がはじまる。 『ススムも今日からみんなと混ざっていいぞ!』 キャプテンの許可が下りたのでキャッチボール、ノック、打撃練習と総合的にやることができた。 『もうあれほど動けるようになるなんてな』 ケンがススムの成長ぶりに目を細めた。 『高槻は守備も打撃も(投球も)全国レベルだし』 『ホッホッホ』 『白井監督!今年は、甲子園に行けるかもしれません』 『最後の夏ですねぇ』 今日の練習が終わり、グラウンド整備をし終わった。 ススムがやり終えるとすぐにバットを持ち、素振りを始めた。 『あれ?ススム君まだ練習やるの?』 二年のライト井川だ。 『キャプテンから言われたんす。あと470本で1000本』 『1000本!?そんなに?』 『コラッ井川!ススムの邪魔をするな!』 『キャプテン、俺も素振りします!一年には負けられません』 井川はバットをつかみ、素振りを始めた。 『井川……』 『俺もやります!』 『俺も』『俺も!』 『僕だって!』『俺様も!』 気が付けば、みんな残って素振り500本をやり抜いていた。 ケンは監督に言った言葉を思い返した。 (今年の夏は甲子園に行ける) 予感が確信に変わった。
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