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ススムが総合的に練習に参加できるようになってからまた一週間程度たって、入部して早一ヶ月。
5月のゴールデンウイークに突入した。
そして、今日ススムにとっては初めてとなる練習試合をやることになっている。
まもなくプレイボールだ。
試合前に白井監督がミーティングを開いた。
白髪頭に中年太りが気になるが、穏やかな瞳をしている。
『相手は、強豪の里上高校ですが、君たちも、十分強くなりましたよ』
『はいっ!』
『では、スターティングメンバーを発表します』
1番センター陸奥ススム
2番セカンド照井勝
3番ショート高槻アキラ
4番ピッチャー後藤ケン(主将)
5番サード番田ゴウ
6番レフト前田隆史
7番キャッチャー戸部幸雄(副主将)
8番ファースト岡田泰
9番ライト井川昇
マネージャー後藤ヒロミ
みんなで円陣を組んで気合いを入れる。
『勝つぞ!』
『おう!』
円陣を組み終わると、ナインは対戦相手に礼をするため、整列した。
球審が仕切る。
『先功が、里上高校。球審はわたし、審判もこちらで用意しました。ではプレイ!』
『しゃーっす!』
『ススム、気楽にいけよ』アキラが声をかけた。
『おうっ!楽しみだったんだ!暴れるぜ!』ニカッと笑うススム。
アキラの考察が続く。
今の反応を見る限り、ススムは大丈夫そうだ。
心配なのは後藤キャプテンとゴウさん以外の二年生だ。
強豪との練習試合ということで、かなり緊張している。
この回を抑えれば緊張は取れるはず。
飛ばないことを祈るしかないか。
『さあ、バッチリ打たせましょう!』
『任せておけ!』
一番打者が左打席に入る。
ケンが振りかぶって、第一球、投げた。
1球目は見送りストライク。
『130キロくらい出てるな……』
里上のマネージャーがスピードガンでケンの球速を測っていた。
第2球、投げた。
バットに当たる。ゴツッ。
ショートへのボテボテの当たり。
『オーライ!』
アキラは声を出し、左手でつかみそのまま一塁へ。
バシッと捕球してワンナウト。
『よしっ、ワンナウト!』
ケンもガッツポーズだ。
『おい、今の球、カットボールじゃないか?』
里上のマネージャーだ。
一番打者に問いつめる。
『そういえば、打つ手前で微妙に内に入ってきた気がする』
『少しやっかいだな』
『なに、大したスピードもないし、すぐに点取るさ』
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