里中高校へ

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いよいよ待ちにまった入学式。 校長の長々としたあいさつ。 桜が並ぶ校門前。 生徒会長の入学祝いの言葉。 担任のあいさつとクラスのみんなへの自己紹介と実に慌ただしい1日だった。 ようやく、定例行事が終わり部活動の見学が可能になった。 ススムとアキラは、同じクラスになれたので、サッカー部と野球部両方見に行こうという話になった。 いざ、グラウンドへ。 風の影響で砂埃が舞う広大なグラウンドで、サッカー部が練習をしていたが、野球部の姿はなかった。 とりあえず、サッカー部から先に見学することにした。 『サッカーはよくわからないけど、どう?』アキラだ。 『うん、そうだなー、中学の時のチームメートの方が上手いんじゃないかな?』 ドリブルで抜けるフォワードがいないし、体つきのいいディフェンダーもいなかった。 『あっ、アキラ!野球部が練習始めたみたいだぞ?』 ススムが指を示した。 『見に行こうか』 2人はサッカー部前を離れ、野球部側へ。 『あのー、見学したいんすけど!』 ススムが話しかけたのは、白井監督だ。 『ゆっくりしていって下さい』 にこやかな白髪監督だ。 アキラは野球部の異変に気づいた。 メンバーが何度数えても6人しかいない。 『なんだ?どうしたアキラ?』 『……野球部の人数が足りないんだ』 『マジ!じゃあ試合できないじゃん!おい、じいさん。人数足りないんすか?』 『ホッホッホ』 2人を指差した白井監督。 『なっ、俺はただ観てるだけすから!アキラはともかく』 練習を仕切っていたガラの悪そうな先輩がアキラという言葉に反応し、こっちに近づいてきた。 『アキラだと……貴様まさかあの高槻アキラか?』 『ええ、一応』 『この俺後藤ケンがいる限り、貴様の入部など認めん!』 入部を認めないと言われ、アキラは困惑。 ススムはぽかんと口を開けてしまった。 『キャプテン、さっさと次の練習しましょうよ~』 メンバーに呼ばれ、2人から離れたケン。 『あんなのがキャプテンじゃ、ここの野球部が定員割れなのも納得だな』 ススムは両手を頭の後ろで組み、ため息をついた。 『ススム、今日はもう帰ろう』 すっと立ち上がり、歩み出したアキラ。 『待てよーアキラー』 ススムは慌ててアキラの後を追っていった。
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