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とうとう番長ゴウが入部した日にアキラはやってこなかった。
ススムはただただ走り続ける超ハードトレーニングだった。
しかしまあ、その疲れもヒロミのお疲れ様の一言で吹き飛んでしまうんだから驚きだ。
ススムはアキラのことが気になって電話してみた。
『もしもし?』
『ススムか?今日どうしたんだ?』
『いや、今日はなんとなくやめといたんだ』
『そか、俺野球部にはいった!マネージャーのヒロミさんに尽くそうって決めた!』
『えっ?野球部に?』
『ああ!だから明日ススムも野球部入ろう!』
『明日か、わかったよ。じゃあ』
『おう』
ススムはアキラが落ち込んでいるのを感じ取っていたが、あえて口には出さなかった。
アキラに関しては明日になれば治るだろうと楽観視するクセがあるのだ。
『まさか、ススムが野球をやるだなんて。僕はどうすれば』
悩みながら、明日を迎えた。
2人は一緒に学校に行った。
部活の話はなく、普通の雑談をしていた。
放課後になる。
『いこう!アキラ!』
『ああ。いこう』
2人はグラウンドへ。
アキラは、キャプテンを通すと揉めそうなので、監督と話そうと考えていた。
しかし監督を見つける前にケンキャプテンに見つかってしまった。
『懲りずにまた来たな。もういい、貴様も俺と勝負しろ!』
昨日の勢いをそのままぶつければ勝てると踏んだケン。
野球部一同が見守る中、ケンキャプテンがピッチャーで、バッターにアキラが立つことになった。
『負けるな、アキラー!』
『頑張れキャプテン!』
ケンが投げた第一球。
甘く入ったストレート。
カキィン。
アキラは完璧に捉え、軽々と外野手の頭を越えてしまった。
野球部一同はススム以外唖然。
ケンは、簡単に敗れてしまった。
『キャプテン……』
『く、くっ。俺は貴様の入部など認めんぞお!』
『もうやめて!お兄ちゃん!』
ヒロミがケンに叫んだ。
『どうしてアキラ君を入部させてあげないの?いじわるするお兄ちゃんなんて、キライだわ!』
ガツーンとキツい言葉をくらったケン。
『ひ、ヒロミ。嫌いだなんて言わないでおくれ』
『イヤ、嫌い』
『くっ。仕方ない。ヒロミに免じて野球部に入れてやる。しかしエースは俺だ。いいな!』
『は、はい。ありがとうございます』
『やったな、アキラ』
『うん。これで一緒に野球ができる』
左腕エースのアキラが入部した。
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