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両親から離婚宣告をうけた次の日、俺は母に学校を休むよう促され、現在でも古い付き合いになる親友の家に連れて来られた。
もちろん平日なので友達は学校、俺には何故わざわざこんなところに連れて来られたのかさっぱりだった。
母に尋ねても
『黙ってついてきな』
の一点張り...
そうこうしてる間に玄関前に着いた。
家に入るとそこで待っていたのは、その家の友達の母、そして他の家の親友の母 2人という
俺の母を含めた『仲良し母グループ』だった。
俺はリビングにある椅子に座らされると、真ん中の机を囲むようにして母達も椅子に座った。
そして俺の母が話の火蓋を切って落とした―――。
俺母『あんた、どっちについて行くか決まったか?』
俺『僕、昨日お父さんとこ行くって言ったで?』
俺母『もう一回聞くって言ってたやろ。
それで、あんたはどっちに行くんよ...』
母はすでに返事が決まっている俺に対して、何度もしつこく念を推すように.......
いや、もしかしたら脅迫しようとしていたのかもしれないほど、凄みを聞かせて俺に問い掛けた。
俺『じゃあ僕、お父さん好きやからお父さんとこ行って来るなぁ!』
母は俺の返答を聞いた後に、腕を組んだ中に顔を埋めた。
.....ような気がする。
しかし、おそらく母もこうなることを予想していたのだろう。
だからこそ、母はわざわざ話し合いの場を友達の家にしたのだ。
自分が有利になるように、味方が多い場所に―――。
母A『〇〇、お父さんが好きで一緒に住みたいのはわかるんやで?
そやけどなぁ、〇〇はまだ小さいから、お母さんに育ててもらわな立派な大人になれやんで?』
俺『僕、お父さんみたいになりたいから大丈夫やで!』
母B『あのな〇〇くん、今までのこと考えても、お母さんのほうがお父さんよりもいっぱい面倒みてきてくれたと思うよ?
ご飯も作ってくれるし、洗濯もしてくれるし....』
―――そう、今回の母の作戦は、圧倒的な大人の数の多さで幼い俺を言い包めようという魂胆だったのだ。
しかし今だからそうわかるものの、その時幼かった俺に理解できるはずもなく、その巧みな大人の屁理屈に言い包められそうになるのだった。
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