~小学校

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そんな母達の容赦ない屁理屈が襲う中、俺は余計な意見は耳に入れないようにすることが精一杯だった。 しかし、この一言で俺の心は大きく揺らいでしまった。 俺母『言っとくけどな、確かにあんたはお父さんが好きでついて行きたくて仕方ないと思うよ。 でもな、お父さんは実は〇〇が嫌いなんやで?』 嘘だ。 嘘で俺の気を引こうとしているだけだ。 いくら幼い俺でも薄々は勘づいていた。 しかし、そう断言するほどの自信を持ち合わせていなかった...。 本当は、仕事から帰ってきた後すぐに俺の面倒を見るのは嫌だったのではないか 本当は、いつもまとわりついてくる俺を疎ましがっていたのではないか 本当は、お父さんは俺のことを――― 俺母『もしそうじゃなかったとしても、あんたがお父さんについていったら間違いなく足手纏いになるんやで? そこを考えて物を言いなよ』 俺は思わず、悔しさを噛み締めながら涙を流した。 俺がお父さんといて迷惑をかける事なんか、今まで一度も考えてなかった。 もうお父さんに、俺のせいで迷惑をかけるわけにはいかない。 俺は、遂に母の目論み通りお父さんとの決別を決意した。 俺『.......わかった、お母さんでいい』 ただ一言、それだけを身体から搾り出すのに5分はかかった。 これでお父さんと会う事はないのだと悟ると、さらに涙が溢れ出してきた。 ―――だが、俺の感情は一瞬で怒りに満ちる事となった。 母は俺のその一言を聞くと、今までの深刻な雰囲気はどこにいったのか何事もなかったかのように 俺母『そっか、じゃあお父さんにはそう伝えとくな。 はい、この話はもうおしまいっ!』 と言い捨てた。 俺はしばし呆然とした さっきまでお父さんの方に行きたいと言っていた俺を必死になって止めてたくせに、俺が心変わりしたと見るやそれでおしまいってか...? 人間が腐っている―――。 俺はこの瞬間、今の俺の基盤である母への復讐を誓った。 いつか、いつか必ずお前に復讐してやる... こうして俺はその後お父さんと会う事もなく、別れを言いそびれたまま引越しをすることとなった。 その日を境に俺の心は完全に閉ざされ、自分の感情や本音を覆い隠すようになった。 今でも母といるかぎり、俺はこの日常を続けるだろう。 お父さん、俺はあなたと一緒になることはできませんでした そのかわり、俺の幸せな日常を奪い去ったあの母に必ず復讐してみせます。
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