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さて、離婚という大人の事情で引越しすることになってしまった俺は、始めこそ遠くに引っ越すという話でまとまっていた。
が、俺に対するある人の気遣いにより転校せずに同じ学区内で引越しすることになった。
もちろんそれは母ではない事はおわかりであろう。
その人とは.....
母の愛人だった人
いわゆる新しい『お父さん』ってことだ。
あきれる事に母は、離婚するとすぐに俺と弟の二人をつれて愛人の家に転がりこんだ。
俺はその時初めてその人の存在を知り、母には
『この人が今日からあんたらのお父さんやで』
と紹介された。
しかし、お父さんが大好きだった俺がそんな存在を認めるはずもなく、
先にネタばらしをしてしまうと、俺はその人の事を最後の最後まで『お父さん』と呼ぶことはなかった...。
まぁ、その愛人の『新ちゃん』という呼び名の人のおかげで、俺は転校を間逃れた。
そして新しい俺の日常が始まった。
だが、始まって2週間くらい経ったころに俺はとんでもない事実を聞かされるはめになった―――。
ある日学校から帰って来ると、母と新ちゃんが俺をリビングで出迎えた。
少し珍しいなとは思いながら『ただいま』と一言告げ、そそくさと自室へ籠ろうとする俺を母が遮った。
母『ちょっとまちなぁ』
俺『何か?』
俺はいつもと変わらない口調で言った。
俺は離婚の後、ずっとこの調子だった。
なんだか、俺の日常を奪った母が許せないのと、大切な人の空っぽになった席に赤の他人が踏ん反り返っていることに腹立たしさを覚えたのとで、家で会話をするのがとても嫌だった。
なので、家では必要最低限の会話はしない。
質問されれば一言で返し、無駄な会話はしない。
他に強いて言えば学校の連絡事項ぐらいだ。
なので、俺が普段会話をしたがらないのを母は知っているはずなのに話しかけてくることに違和感を覚えた。
すると、新ちゃんも話に割って入ってきた。
新『今日はちょっと〇〇に大事な話があるんよ』
俺『...............』
気安く親しげに俺の名前を呼ぶな―――。
新ちゃんがなにか悪い事をしたわけじゃない、それはわかってる。
ただ、あんたに俺のお父さんの代わりはつとまらない......
母『落ち着いてききなぁよ.....
新ちゃんはなぁ.....』
その瞬間、俺は自分の耳を疑った―――。
母『新ちゃんはなぁ、実は女やねん...』
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