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母『新ちゃんはなぁ、実は女やねん...』
俺『はぁ!?』
俺は目が点になった。
小一には刺激が強過ぎやしないか?
....まぁ100歩、いや500歩くらい譲って女って事だとしよう。
だがな、なんでお前はわざわざ女と付き合ってるんだ?
これが百合ってやつなのか?
俺『なんで?』
母『何がよ』
俺『なんで女の人と結婚すんの?』
すると今度はまた新ちゃんが割って入った。
新『あのな〇〇、新ちゃんらはな結婚届出さんでも結婚したってことにしてるんよ』
なんせその頃の俺に難しいことはわからなかったが、とりあえず現状はアブノーマルであるということだけはわかった。
俺『でも女やったらお父さんになれやんで?』
母『覚えときなぁよ。
恋愛には性別なんか関係ないんやで?』
母はどのドラマから引っ張り出してきたのか分からないような台詞を吐き捨てると
母『はいっ、この話はもうおしまいっ。
あんたはもう部屋に行っていいで。』
と、また無理矢理その場を締めくくった。
新『隠しててごめんな...。
(弟〇〇)に知られたら嫌われてまうと思って言うに言い出せやんかったんよ...』
それはあれか、わざと弟の名前しか出さずに俺を挑発してるのか?
俺が睨み付けてるのに気付いたのか、新ちゃんはそのまま部屋の奥に逃げるように去って行ってしまった―――。
その夜、新ちゃんが仕事に行ったあとすぐに母に呼び出された。
また新ちゃんの話かとうんざりしながら母の元へ行くと、突然母は常識の欠片もない、とんでもない事実を俺に暴露した。
母『ちょっとあんた!あんまり新ちゃんの機嫌損なわんといてよ!
新ちゃんおらんかったら家とかお金どうするんよ!』
はぁ...
―――何が性別は関係ないだ。
笑えないジョーク言いやがって。
正直、母がここまで汚れた人間だったとはさすがに予想していなかった。
要するに、母は生活のためだけに新ちゃんを頼ったわけだ。
そこには愛などどこにも存在しなかった―――。
これからこんな罪悪感に囚われたまま生活することを考えた瞬間、俺はもう冷静ではいられなくなっていた。
母『〇〇っ、何処行くんよ!
もう外は暗いんやで!?』
俺『散歩じゃっ!!』
止めようとする母をかいくぐって俺は外に飛び出した。
―――俺は頭を冷しながら、幼い自分の運命のあまりの不幸さに涙を流した。
叶うのなら生まれ変わってみたいなぁ...
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