~幼稚園

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1992年12月2日午前8時頃、今の母と優しい父との間で俺はこの世に生をうけた。 しかし、冒頭でも言った通り物心がついた頃から俺は母が嫌いで仕方なかった。 要するに、必然的に俺はお父さんっ子になるわけだ。 幼い頃の俺は、たしか極度に『ウルトラマン』が好きだった記憶がある。 まわりの友達の間でポケモンが流行っていた時も、俺は一人、腕が可動するウルトラマンの人形を片時も放すことはなかったっけな... そして、まず一つ目の母の鬼畜ぶりがこのウルトラマンの人形に関係してくるわけだが、今からそのことでも話そうか―――。 まだウルトラマンティガが大人気だった時代のある日の朝、俺はたしかジュースを部屋中歩き回りながら飲んでいて、それを豪快にブチ撒けてしまったときがあった。 ....ような気がする。何分昔のことなんだ、曖昧で申し訳ない。 俺は、その時に母が俺に与えた罰を一生忘れることはない。 あろうことか母は、まだ幼稚園にも入っていないような息子を、飲み物をブチ撒けただけで夕方まで押入に閉じ込めたのだ。 これは少し度が過ぎやしないか、母よ... 俺は幼いながらも命の危機を察し、必死になって『ごめんなさい』を連呼した。 しかし母は最後の最後まで返事すらすることはなかった...。 そして、押入から引きずりだされた俺が見たものとは..... 黒いビニールのゴミ袋3袋分にはなるだろうウルトラマンの人形の数々が、外に運び出されて行くなんとも言えない様だった。 俺はその時をきっかけに、幼いながらも初めて『殺してやりたい』という感情が芽生え、腹に抱くようになった。 ―――余談ではあるが、この押入に軟禁...いや、監禁される罰は決して1度や2度だけなんかではなかっため、幾度となく繰り返されたことによるトラウマで俺は閉所恐怖症に陥ってしまっている事を告知しておこう。
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