28人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
さて、そんな俺も人並みには成長し、入園式をボイコットするという偉業を成し遂げながらも立派な幼稚園児になるのだった。
ま、ボイコットとは言っても母が入園式の日を忘れてただけなんですけどね...
おかげで幼稚園初日から人気者だったよ。
そんな幼稚園時代にも恐ろしいトラウマがあるわけで、まぁ同情の念で読んでやってくださいな
―――俺がまだ『ドラえもん』の利用価値に気付かない純情な心の持ち主だった頃、その悲劇は起きてしまった。
俺はその頃、『階段からオモチャを転がり落とす』という作業に、中毒なほどにハマっていた。
何故か、だって?
......ほら、幼児の考える事はいつも奇怪だろ?
その類だと思っていて欲しい。
......要するに覚えて無いんだ。OK?
そんな変わったマイブームを持っていた俺は、ある日とうとう母の怒りを買うことになった。
.....だが、その怒りの表現は少し....いや、大いに歪んだものだった。
激怒している母は、突然俺を掴むと2階に上り、そこから俺を下に向かって放り投げたのだった―――。
『あんたもオモチャの気持ちを味わったらどないよっ!』
と、何度も何度も拾われては階段を転がり落とされる俺。
それを5往復した頃に、母は傷まみれの我が子を見て、最後に『汚らしい』と言い捨てリビングへと戻って行った......。
―――もちろん、俺のマイブームはその日を境に凍結することとなった。
幸い大きな外傷はなく身体中の打ち身だけで済んだものの、ボロ雑巾のように扱われた幼かった俺の心を傷つけるには十分過ぎる仕打ちだった。
流石に階段ばっかりはトラウマになるには至らなかったが、未だに階段を見ると稀に怖気が走る時があったりします....
俺の中の『憎しみ』が、より明確なものとなった瞬間でした。
最初のコメントを投稿しよう!