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でも、やっぱりタケルなしで「あかり」がこの世界で生きるのはとても大変なことなんだ。
例えば無重力の海に何日も何十日もただただプカプカと浮いてる感じ。
空は白いよ。
手はフヤフヤにふやけて指をこすり合わせると感触が気持ち悪い。水分を軽く吸収したシャツが少し重くて、水圧が胸にくる。
でもただあたしは浮いてるんだ。
どこに流れつくかも知らないまま、いっこうに何も変わらない、そして相変わらず先がない白い空ただ見上げて浮かんでる。
背面に感じる水温なんかよりも、あたしを斬っていく澄んだ風の方がとても冷たくてたまに泣きそうになるよ。
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