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この世界であたしは他の人達に比べれば、恵まれていたらしい。
多くの人はそう言った。
読書が好きだった父方の祖母は、
直線でなぞれる綺麗な鼻や控えめに添えられた紅色した唇は本当にお雛様のようねと
いつも詩人のような言葉をならべてあたしを誉めてくれた。
そのたびにあたしは歯がゆい気持ちになって唇をキュッと引き締めて恐る恐る祖母を見上げた。
縦にも横にも大きな図体をした祖母は、どこかの物語の魔女のような真っ赤な唇を開いて、
あかりはお父さんに似てきっと知的な女性になるわ。と、最後にいつもそう付け足した。
あたしはこの言葉が大嫌いだった。
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