背徳教師

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彼は生徒にお気に入りを作るのが大好きな教師でもあった。 テストを返すときは必ず80点以上を名前を読み上げながら笑顔で返し、 授業中に二、三回は生徒に考える問題を与えて、始めはその辺の目に付いた生徒に投げかけ、その子らが分からないと最終的には彼の『お気に入り』の生徒に問題をふって答えさせた。 『お気に入り』が出した答えを彼は満足げに頷きながら、出来なかった『おちこぼれ』に向かって、「理科は覚えるだけじゃなく考える教科なんだ」と一生懸命に説いた。    彼は理科の教師であることを誇りにしてもいた。
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