1話

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『1年1組教室前』 「ここか。あー…ドキドキするなぁ!」 緊張と期待。二つが混ざって、不思議な気分だ。 うーん、上手く説明出来ない。 「アース、入ろうか!!」 「え、ちょっ、手!手ーッ!」 結局手を離してもらえないまま、教室の戸が開けられてしまった。 ああ…終わった…。 ガラガラっ …視線が僕達に集まる。 いや、僕達は見られていない…のかな? 視線を辿ろう… …案の定、視線は僕達に向けられていた。いや、正確には、僕達の手。 「あ…」 「あ…」 僕とシェリーは、顔を見合わせる。 珍しく顔が赤いシェリーは、口には出さないけど可愛い。 でも、人の事を言えた立場じゃなかった。 何故なら、僕も顔が赤い。 多分、シェリー以上に。 「…。」 僕は無言で席に着く。 まだ視線が向けられてる気がしてならないから、迂闊に顔を上げられない。 「…。」 シェリーの方を見る。やっぱり無言だ。 ガラガラ!! …!どうやら先生が入ってきたみたいだ。 皆も静かになる。 「諸君、おはよう!今日から君達の担任を受け持つ 『フレア・パイル』だ。 ちなみに教える科目は剣術。よろしく!」 お堅い挨拶じゃなかったからか、皆の表情が緩む。 この人は、きっと良い先生だろう。 「そして、今日やることだが… 今日は皆に自己紹介をしてもらう。 …なに、簡単な事だよ。名前を言った後に皆に一言、それだけ言ったら終わりだからな。 それじゃあ、最初…」
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