序章。

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「…残念ですが……単刀直入に言います。診断の結果、お子さんは魔法が使用できない体質のようです。」 当時、まだ三歳だった僕は意味も大して解らずにその言葉を聞いていたのだろう。 隣で呆然とする母、後ろで固まっている父。 「……一体、…それは……どういう意味なんです?」 何とか父が言葉を捻り出す。 医者は続ける。 「………慎重に検査をしてわかったのですが、お子さん──カイト君の体、特に手足に、重い障害がある事が分かりました。」 「障害?」 「はい。カイト君の手足には、どうやら全く魔力が通っていないのです。」 ─────────────── 魔力。 それは、血液と同じように人体を循環している、この世界の人間が生きていく上で最も重要な物である… ………はずなのだが。 ─────────────── 「魔力が通っていない………?…そ、そんな事が有り得るんですか?先生。」 母は唖然としたまま医者に問い掛ける。
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