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「……残念ながら、…私にもこれは初めての事例です。」
「そんな……」
「……ですが、」
医者は言う。
「不思議な事に、カイト君の魔力の量と質に関しては通常と同じ……、いえ、むしろ他の子供達より優れているほどなのです。」
「…え?」
「それに、日常生活に限って言えば、この障害による支障はほとんど出ないと思われます。」
「………そうなんですか?」
母の問い掛けに、
「ええ。ただ……」
医者は少し言葉を濁す。
「……ただ……、学校に入学する時は改めて少し考えてください。私で良ければいつでも相談に乗りますので。」
「……ありがとうございます。」
父の感謝の言葉を最後に、風景がぐるぐる回っていく…………。
………………………………………
不意に、目覚まし時計の音が鳴り響く。
「ん…………」
僕は、それを叩いて止め、ゆっくり起き上がる。
「……もう朝、か……」
……そういや、今日は【入学式】だったな……
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