1.同じ学校

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琴音は窓の外を見つめる。 ああ、この見慣れた景色ともあと1年でお別れか。 なんだかピンと来ない。 だけど、苦しくて、簿記なんか馬鹿馬鹿しく思えてきた。 琴音はプリントをたたみ、リラックマのピンクのファイルに入れた。 それと電卓をカバンにしまう。 白川が元春に教えるのをやめて琴音を見る。 「帰るのか?」 「……ううん」 「いやいや、帰らないならしまう必要ないだろう」 「簿記は家でする。だから、遊ぼう」 琴音のKY発言に、白川は眉を寄せる。 「おまえね」 「もうすぐ、終わるの、全部」 「……まだまだ時間はあるよ」 「でも、だって――」
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