1.同じ学校

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. 手元の紙は、いつの間にかカブトになっていた。 放課後の教室。 佐山元春はため息をつき、カブトを広げる。 折り目がついた、進路希望の紙。 枠のなかは全て空欄。 元春は再びため息をつく。 行きたい学校なんてない。 一緒にいたい人はいるけれど。 気づけば窓の外は真っ暗だった。 今日中に提出しなければならないのに、もうすぐ下校時間になってしまう。 元春以外誰もいない教室は静まり返っている。 「……どうしよう」 つぶやくと同時に、教室のドアが開いた。 担任の宮内だった。 ちょっと福山雅治に似ている。 「佐山、まだいたのか」 「はい……」 「進路の紙は?」 「……えと」 「早く出しなさい」 元春は紙に視線を落とし、シャーペンを握った。 意を決して学校名を記入した。 恋人と親友の志望校名を。
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