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白川は聞き間違えたのだと思った。
「ん?」
聞き返す。
元春は再びうつむく。
「純と琴音と、同じとこ……」
さっきよりも力のない声で、元春は答えた。
白川は返事をすることができない。
白川と琴音の志望校は、元春の成績では受験資格さえない。
がんばれよ、みたいな軽い無責任な発言はできないし、突き放すようなことも言えない。
「……」
教室は騒がしいのに、元春と白川だけ違う空間にいるようだ。
「もっくんと姫子はなんで呼ばれたの?」
いつの間に来ていたのか、桜川蒼香が言った。
蒼香の両隣には琴音と河下姫子がいる。
「あたしは、たぶん、スポーツ推薦のことはず」
姫子が答える。
「ああー、もっくんは?昨日悩んでたけど、まだ決まってないみたいな?」
「……」
元春は答えようとしない。
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