1.同じ学校

5/41
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/547ページ
白川は聞き間違えたのだと思った。 「ん?」 聞き返す。 元春は再びうつむく。 「純と琴音と、同じとこ……」 さっきよりも力のない声で、元春は答えた。 白川は返事をすることができない。 白川と琴音の志望校は、元春の成績では受験資格さえない。 がんばれよ、みたいな軽い無責任な発言はできないし、突き放すようなことも言えない。 「……」 教室は騒がしいのに、元春と白川だけ違う空間にいるようだ。 「もっくんと姫子はなんで呼ばれたの?」 いつの間に来ていたのか、桜川蒼香が言った。 蒼香の両隣には琴音と河下姫子がいる。 「あたしは、たぶん、スポーツ推薦のことはず」 姫子が答える。 「ああー、もっくんは?昨日悩んでたけど、まだ決まってないみたいな?」 「……」 元春は答えようとしない。
/547ページ

最初のコメントを投稿しよう!