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「琴音の行きたい大学の受験資格は?」
琴音は首を傾げながら答える。
「日商簿記2級、平均評定4.5以上、テストの順位は学年の10%以内。だから、うちの学校は5位までだね」
琴音が言ったことを、蒼香がそのまま黒板に書き込む。
日商簿記検定2級は、この学校では一番上の資格だ。
まず、日商より程度が低い全商の簿記検定1級に通ってから学ぶ。
「もっくん、日商簿記持ってる?」
蒼香が感情のこもらない声で淡々と訊く。
「……ない。全商1級なら……」
「6月に通ればなんとかなるか……平均評定は?」
「4.3……」
「……テストの順位は?最近の、実力テストの」
「……27位……」
蒼香は元春の言葉を黒板に書き、少し後ろに下がり、腕組みをした。
「……いける」
「え?」
「次の中間テストでどこを受けられるか決まるってことは知ってるでしょ?」
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