剣林弾雨 ~弾雨の章~

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長州藩兵が怒濤の進軍を見せ、蛤御門目掛けて押し寄せる中、やはり会津藩兵は皆冷静だった。 ただ容保の指示を待ち、引き金を引くのみで、相手の大半を薙ぎ倒すことが出来る。 その自信が、彼らから恐怖心を取り除いているのかもしれない。 「何でこんなに引き付けるのでしょうか?」 相も変わらず待機させられていることで手持ちぶさたになったのか、宿禰が沖田に聞くが、沖田も刀を頼りに生きてきたせいか銃という武器には疎い。 小首を傾げて微笑んでいると、隣から永倉が口を挟んだ。 「左之の受け売りで良いなら説明してやろうかの」 そういう永倉の顔には笑みが見えるが、目の奥には激しい炎があるように見える。 しかし、それ以前に気になることが宿禰にはあった。 原田の受け売りという点が、宿禰の頭に引っ掛かる。 「何で原田さんの受け売りなんですか?」 宿禰の質問に、永倉は笑いながら答える。 「そりゃあ、左之の奴から聞いた話だからだわい」 理路整然と言わんばかりの永倉の答えに、宿禰は自分の質問の仕方が悪かったと気付いた。 宿禰は再び、ただし今度は詳しく、永倉に説明をする。 「なんで原田さんがそんな知識を永倉さんに教えられるんですか?」
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