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矛と槍。
二つの長柄の武器はよく似ているが、厳密には違う武器なのだ。
何よりも作られた時代、製造法が全く異なる。
戦国時代以前は矛が多かったが、戦国時代には槍の大量生産が始まった。
原田も慣れるまではすぐに判断がつかなかった矛と槍の違いで、一番分かりやすいのは作り方。
宿禰の答えは原田の考える模範と一切違わなかった。
金属そのものに穴を開け、そこに柄を差し込むのが矛。
柄に穴を開け、金属を差し込むのが槍。
金属と柄の接合部を見れば分かることだが、知識がなければそこを見ることは無く、見たとしても決して判断がつかないので、原田は素直に誉める。
「大したもんだなぁ、お前!新八なんか、どっちでも変わらねぇだろうが!!、とかぬかすぐらいだったんだぜ!?」
豪快に笑うと、宿禰の背中をバンバンと叩きながら、長柄の武器について語り出した。
いつか沖田と永倉から聞いた、原田が頭が良いと言うのはどうやら本当らしく、すらすらと歴史と武器ごとの特長を話していく。
矛は斬ることを主としており、習熟が必要であること。
槍は突くことを主としており、素人でもそこそこに扱いやすいこと。
その話術も非常に巧みで、宿禰は話に引き込まれていた。
何十分か経った頃、宿禰が聞きなれていて、屯所では聞かないはずの声が宿禰にかけられた。
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