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結城「…………ええ」
『月からの使者』は今、世を騒がす犯罪者
金を払えば人を殺し、戦争を勝利へ導き、国をも殺し尽くすと言われている
フィリア「『月からの使者』もカタナを使っているのでしょ?」
結城「そうみたいですね」
フィリア「だから、ユーキが『月からの使者』かなって」
結城「あはは!まさか、違いますよ。その推理だと、日本人のほとんどを疑わなくては」
将来的は国を担う彼女、世界の事件はきちんと把握しているのだろう
フィリア「ごめんなさい。確かに『月からの使者』は人殺しかもしれない、それは許される事じゃない。でも、何を思って殺してるのか、何か理由があるのか。私は知りたいの」
結城「それは彼自信しか知りませんよ」
フィリア「うん。でも、人殺しは許される事じゃないけど、何か理由があるなら許されるかもしれない。理由があるのに許されないのは可哀想だから……………」
結城「姫様、そんな事はありませんよ。人殺しは人殺し。1人だろうが100人だろうが、人殺しは人殺し。殺したのなら例外なく地獄に落ちるべきです」
それは、結城が昔にとある人に言われた事
別に彼はそれを構わないと思っている
殺してはいけないとは人間が勝手に決めた小さな世界のルール
彼は、同族を殺す事で開かれる未来があると考えている
フィリア「ユーキ?そんな悲しい顔をしないで」
フィリアは結城の顔へと手を伸ばして、頬を優しく撫でる
結城「ひ、姫様?!な、何を?!」
フィリア「貴方が悲しい顔をしたから、貴方にはそんな顔して欲しくはないの」
結城「姫様……………ありがとうございます」
結城は優しく微笑む
フィリアは結城の微笑みに微笑みで返す
フィリア「そう言えば、ユーキは『月からの使者』の事を『彼』と言っていたけど、知ってるの?」
微笑みから一変、あ、そうだと思い出した顔をして結城に訪ねる
結城「あ、いえ。日本では『月からの使者』の事は男だとみんなが言っていたので」
結城はそれを苦笑で返す
中々に不思議めいた犯罪者は性別さえ分かっていないらしい
フィリア「ああ、それでかぁ」
結城「はい」
すみません、と謝って再び別の話が弾む
そしてこの後、夜まで色々話してから初日の仕事は終わった
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